ネット上の人種差別、米欧の共通的対策の難しさ

欧州安全保障協力機構のネット上の人種差別対策会議、具体的措置はまとまらず。
L'OSCE ne décide pas de mesures concrètes contre le racisme sur Internet LEMONDE.FR | 17.06.04

Divisés sur la nécessité de légiférer pour lutter contre le racisme sur Internet, les pays de l'OSCE, réunis mercredi et jeudi à Paris, ont parié sur la responsabilité des internautes et sur le travail déjà engagé entre ONG et industriels pour faire le ménage sur la Toile.

昨日紹介したル・モンド記事の続報(ル・モンドのペーパー版に載る署名記事ではなく、AFP電をネット版だけに転載する形になっている。)

当初に予想された通り、規制の必要性について米国と欧州諸国との対立が大きく、具体策については何もまとまらず、今後の取り組みについての一般的結論のみを採択。ただし実務的レベルで米国のISP、ネット管理者の態度にも欧州側の主張する規制についての歩み寄りがみられると。

欧州側から見ると歩み寄りだが、米国(日本)のネット利用者側から見ると「自主規制」「自主検閲」にあたることになる。こういうニュースがさて日本でどう受け入れられるか。

「ブッシュによる世界」−−もう一つの「華氏911」

フランス公営TV、France 2はウィリアム・カレル監督のドキュメンタリー・フィルム「ブッシュによる世界 Le Monde selon Bush」を6月18日夜放送した。France 2もスポンサーになっており先週の終りからあちこちで宣伝されているので期待して見た。

ブッシュ政権が政権についてから米国で行っていることをイラク戦争を中心に追跡したもので、つまりマイケル・ムーアの「華氏911」とほぼ同じテーマを扱っている。まだカンヌでしか上映されていない「華氏911」を見ていないのでその予告編や報道を基準に比較するしかないが、「華氏911」が反ブッシュ宣伝を自ら標榜し映像のアピール力を利用しているのに対し、こちらの「ブッシュによる世界」は関係者のインタビューだけでほぼ構成された正攻法的なTVドキュメントになっている。

まずインタビューで出演している人物が広範だ。ラムズフェルト、ライス、ウォルフォヴィッツらの現在ホワイトハウスの中核を占める人間は全員が断ったというが、武器商人との関係したスキャンダル問題で国防政策委員会の委員長を辞任したネオコンの「暗黒のプリンス」リチャード・パールはインタビューに応じペラペラしゃべっている。レーガン時代の国防長官で現在国防分野の巨大投資会社網カーライルグループのトップ、フランク・カルルッチもよくしゃべる。CIAの元エージェント、パトリオットアクト2の草案作成者、悪の枢軸スピーチの起草者など他にも「インサイダー」がぞろぞろと出てくる。

浮き彫りになるのは、月並みな表現だが、ブッシュ政権の異常さ(いろいろな点にいついて何人もの口から「米国の歴史の中で前代未聞」という言葉が何度も繰り返される)、恐るべき腐敗、欺瞞体質である。この問題について関心のある人にとっては新事実というのはほとんどないが、それらがオンパレードになると正直言って見ていて文字どおり鳥肌が立った。それも陰謀論者のペンからではなく関係者の口から語られる証言のリアリティーは圧倒的だ。

このドキュメント、「華氏911」の存在を知らずに制作がスタートし、カンヌに出品を予定していたがムーアの映画とだぶるということでカンヌの出品作に選定されなかったという。7月にDVDの発売が予定されている。日本ではどういう扱いになるだろうか。NHKに放映する骨はあるだろうか。

今チェックしたらホームページがちゃんとあって英語ヴァージョンのページもあり、予告編が動画で見られる。
http://www.lemondeselonbush.com

このドキュメントについてはまた改めて書きたい。