自己言及型
本日記の方針として、日本国内の政治問題を直接にはとりあげないことにしているが(気の利いたことを言ってくれる日記は他にたくさんあるから)、久々に大笑いさせてもらったすごいギャグをみつけたので、禁を破って。
<ブーイング問題>石原都知事「民度低いからしょうがない」
中国で開催中のサッカー・アジア杯で、中国人観客が反日感情を噴出させている問題で、東京都の石原慎太郎知事は6日の記者会見で、「民度が低いんだからしょうがないね」と不快感をあらわにした。さらに「ああいう独裁政権というものは自分を維持するためには仮想の敵を作らなくてはいけない。それが日本ということになっている」との見解を示した。...
(毎日新聞)8月6日20時53分更新
いうまでもないが、政治家の発言である以上、そういう発言を平気でする人を選んでいる共同体の民度や、発言する政治家の政治的利益はというふうに人の発想というものは自然と導かれる。「他人を馬鹿と呼ぶ奴は自分が馬鹿だ、例えば○某の馬鹿のように」とか、「人種差別主義者と黒人は嫌いだ」とか、最近では「ユダヤ人は人種差別主義者だから嫌いだ」というバリエーション(平気でまじめに言う人がいる)などのあるこの種の自己言及型の陳述、何か名前があるんだろうか。嘘つきクレタ人ではないし...
この手の主題が扱われる掲示板やブログに不幸にしてたまたま検索でぶつかると、1871年あと、あるいは1918年あとの時期の独仏のパンフレットとそっくりな表現を目にしてめまいがすることがある。日本にいたときはインターネットがなかったためか、世間知らずだったのかしらないが幸か不幸かそうした「世論」にもろに直面することはなかった。インターネットによって発見した新しい祖国の顔。この次第に大きくなる違和感の原因は、異国ぐらしで自分が知らず知らずに変わったためなのか、それとも多くの−−しばしば若い−−同胞たちが私を置き去りにして変わったからなのか。
ヒロシマ・デー ドイツ語圏のニュースから
Hiroshima-Tag として多くのメディアが広島発のレポートを伝える。次の2つのニュースはドイツ語圏発。奇しくも、昨日引用した2つの新聞がソースになる。
ZDFとBBCがヒロシマのドキュメンタリーを制作
ZDF und BBC drehen Doku über Hiroshima
Hamburger Abendblatt 6. August 2004
通信社 dpa の配信記事。ドイツの国営放送ZDFと、イギリスのBBCが共同で来年の60周年に向けて本格的なドキュメンタリー番組を企画しているという話。アメリカのDiscovery Chanel、カナダ、フランスの放送局も参加。投下に先立つ数ヶ月前から、投下後の歴史までをカバー。コンピュータグラッフィクスや、日記など当時の文書、体験者のインタビューなどを総動員して制作という。
オーストリアの Der Standard はウィーンでの追悼行事を予告する。
シュテファン広場でヒロシマ追悼行事
Hiroshima-Gedenk-Aktion am Stephansplatz20時30分からランタン行列。シュテファン広場からカール教会まで
Um 20.30 Uhr beginnt Laternenmarsch vom Stephansplatz zur Karlskirche
Der Standard 06. August 2004
この追悼式に寄せられた、「人類の自己破壊について警告する」オーストリアのハインツ・フィッシャー大統領のメッセージの抜粋と、主催者のウェッブサイト www.hiroshima.at が紹介されている。
上記ウェッブサイトをみるとオーストリアの大統領、独襖の有料政治家、聖職者、知識人、広島の秋葉忠利市長をはじめ有名無名の多くの人のメッセージが掲載されている。
この話題はどのくらい日本で報道されているだろうか。ざっと国内ニュースをみたところ見当たらないが、いやしくも友好国の大統領がメッセージを発しているのだらから、ちゃんとした翻訳とともに紹介してほしいと思う。
仏、反核運動家たちのヒロシマ、ナガサキを偲ぶ恒例断食
反核運動家らが断食−−タヴェルニー市。
Taverny Les militants antinucléaire vont jeûner
Le Parisien, vendredi 06 août 20041945年8月6日、日本の広島は原爆で壊滅した。9日には長崎も同じ運命を被る。116000人*1が命を落とした...
例年のように、反核平和運動家たちがタヴェルニー Taverny 市*2の市民ホールに集まり、今朝から4日間、2つの悲しい記念日の間、「核兵器の廃絶をめざす核兵器拡散防止条約の遵守」を求めて断食を行う。運動家たちは今朝、核戦力の地下司令室のあるタヴェルニーの基地の司令官のもとを訪れることになっている。運動を主催する「監視の家 Maison de la vigilance」代表のドゥニ・カリエ Denis Callié 氏は「司令官とは毎年会見しています。司令官は私たちに説明して、フラスは核による抑止戦略を採用しており、軍人として個人的なコメントはできないと言います。まるで耳の聞こえない相手との会話ですが、会話は礼儀正しいものです。」と語る。政策決定権のある人々に訴えるため、平和運動家たちは、ジャック・シラクと国会議員たちに手紙を送ることになっている。
三面記事に強いと紹介したパリジャン紙だがこういう渋いニュースもしっかり。核兵器、核エネルギーの存在に慣れっこになっている人が多いフランスにとってこういう人たちは貴重です。
Libre Bélgique には、「広島、長崎と連帯する Solidarité avec Hiroshima et Nagasaki」と題する、ピエール・ピエラール Pierre Piérart(l'Université de Mons-Hainaut Professeur 名誉教授。「核戦争予防のための医療関係者協会 Vice-président de l'Association médicale pour la Prévention de la Guerre nucléaire (AMPGN)」)という方の論壇投稿。核拡散防止条約について歴史的経緯を振り返りながら現状を憂える。
そういえば、アメリカの民主党大会の主要演説者で、ただ一人クリントンだけが、ブッシュ政権の弾道弾迎撃ミサイル(ABM)制限条約、包括的核実験禁止条についての態度を明示的に口に出して批判した。候補となっているケリー氏としてはアメリカの好戦的世論を考えれば、それどころじゃないというところだろう。それにしても核兵器の制限の歴史の流れを9.11以前に視点を戻して見られるクリントンの態度は光っていた。
「はてな」では、id:hinakiuk さんの素晴らしい文章。素直に感動した。