同じ事を述べるにも

ルモンドの20日づけがネットに載った*1社説の主題はフィガロと同じく、シャロン発言問題。タイトルは 「シャロンとフランス Sharon et la France」。

こうした発言をするシャロンの狙いは何か?と問いかけ、それが、実際にイスラエルへの移住を増やすことにあるとしたら逆効果だ、と述べた後、「もう一つの説明は...」として導入される後半部分は、先に紹介したフィガロの社説と共通する線だ。が説明はもう少しソフィスティケートされている。

もう一つの説明は、シャロン氏はこのようにフランスの評判を落とすことによって、ヨーロッパを中東外交の土俵の外に置こうとしているというものだ。ガザからのイスラエル撤退への合意を得るために労働党の内閣入りも可能性としてある次の重要な段階を控え、リクード党の党首シャロン氏がアメリカの[ユダヤ人]団体に発しようとしたメッセージは次のようなものである−−イスラエルパレスチナ紛争の政治的解決はイスラエルアメリカの問題であり、親アラブ的偏りにまみれているヨーロッパは銀行の役回りだけにとどめおかれる。

イスラエルの見方では、フランスはこのヨーロッパの親アラブ的政策の最先鋭である。6月30日のミシェル・バルニエ外相のラマラ訪問はさらに事情を悪化させた。外国要人に対しイスラエルが定めた決まりでは、ヤセール・アラファトの元を訪問した者は、イスラエルの指導者との接触が剥奪されるが、フランスの外務大臣アラファト氏−−パレスチナ人の歴史的シンボルではあるが、自らの陣営からもますます反対の声があがっている人物−−に会いにいくほうを選んだことになる。シャロン氏のパリ訪問はすでに何度も延期されてきたが、可能性すらもなくなった。

フィガロのストレートな説明に比べて、究極的には同じ線でも内政事情をからませたより立ち入った分析や、今後の外交事情における影響をはっきりと測定しきるところは、さすがというべきか。もっともル・モンドの社説はフィガロを見てから、それを横目で睨んで書かれる*2ので、後出しではある。また一行解説としてコピペするには、フィガロのような威勢のいい単純な言い回しのほうが通りがよいというのは事実。。

*1:ページに12時16分づけと記されているが、14時にチェックしたときはまだネットにのっていなかったことを考えると、ル・モンドの記事に付されている時刻はどうも実際の発表時間とは違うような気がする。前から変だとは思っていたが。どうせ一日遅れる新聞なので、まあ問題になる局面は少ないと思うが。

*2:ブルデューが、ジャーナリズムにおける「場の力」について説明するとき、Nouvel Obs のジャーナリストが記事を書くとき、記者は読者に向けてでなく、リベラシオンの記者に向けて書いている云々(出典思いだせず。前に触れた「テレビについて Sur la télévision」 だと思うがすぐには見当たらず)と言っていたのに倣って...