世界最大の原料消費国、中国

中国の成長が原料市場に大変動を与える
La croissance chinoise bouleverse le marché des matières premières

相場は記録的な高値に、物資不足も。
Les cours ont atteint des niveaux records, et des pénuries apparaissent.

LE MONDE | 12.08.04

原油価格の高騰は原料市場を 緊張の最も象徴的な例である。この分野に起っている変動はこの30年の間で最大のものである。
鋼鉄、アルミニウム、亜鉛、銅、綿、大豆、鉛、プラチナ、パラジウム、石炭。すべてが値上がりしている。相場は歴史的な高値水準に達し、物資によっては欠乏もあらわれてきている。鋼鉄、くず鉄は不足している。貨物船さえも足りない。海運運送料は1年弱の間に3倍になった。
このような高騰は誰も予想しなかった。中国の急速な発展を誰も予想しなかったからである。もう何年も前から言われてていた中国経済の力強い発展は2003年の下半期に加速した。SARSの終息とともに、まるで不安の解消がエネルギーを解放したかのように。
1年の間に中国の綿の輸入は50万トンから120万トンに増加した。亜鉛の輸入量は209%増加。ニッケルは150%。銅、アルミ、鉄鉱石の消費量は倍以上になった。
アルミニウムの19%から石炭の30%超に至るまで、中国は世界の原料市場において最大の消費シェアを占める国である。
工業成長に関係のない物資、あるいはカカオやコーヒーといった中国の食習慣になじまない生産物だけがその影響力を免れている。
中国ファクターの影響力は決定的となり、あらゆる相場の関係者が中国政府の決定を細大もらさず観察するようになった。経済の過熱を恐れた中国政府は3月には年間成長率を7%にする決定を下した。貸し付けに制限が加えられ、冶金、アルミニウム、建設への投資は凍結された。
にもかかわらず、7月には中国の工業生産は15.5%増加した。中国政府はそれでもそこに改善の兆しを見た。これがこの1年で最低の成長率だからである。

中国経済をゆるやかに着地させようとするこの試みは、この数週間来、市場にある程度の緊張緩和をもたらした。トン1万7000ドルを記録したニッケルは1万3500ドルあたりにおちついている。スズは8500ドルほどに値下がり、この22年間で最高値を記録したプラチナは850ドルまで下がった。しかしアナリストは値上がり以前の状態に戻ることはないと見ている。生産能力は不足し、在庫は最低レベルにあるからだ。
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この後、在庫の欠乏状態、この高値がヨーロッパの経済成長にブレーキとなる懸念、ヴァカンスあけから消費者物価に跳ね返ってくる可能性についての記述が続く。

原油値上りにに関する中国消費の同様な影響については、ニュース検索してみると、ル・ポワン誌に「原油−中国が状況を変える Pétrole : La Chine change le donne」。記事の付表では、中国の石油埋蔵量は世界11位、シェア2.1%。生産は世界6位、シェア4.6%。消費は世界2位、シェア8%。1位のアメリカ25.1%をはるかに下回るが、日本の6.8%を追い越した。1992年には輸出もしていたのが、今は消費量が生産量をはるかに越え、決定的な石油不足。経済の急速な発展ともに消費量は増えこそすれ減りはしない。記事は中国からのレポートで、中国のエネルギー戦略、外交政策の分析にまで及ぶ。

◆上の記事の詳論とは具体的には関係ないが、世界システムの中での日・中・韓の将来の役割についてのウォーラーステインのスケッチ的な文章 :
"The Changing Geopolitical Role of East Asia" (Aug. 15, 2004)。
id:kmiura:20040814#p1 で知る。kmiuraさんのコメントに便乗する。