ネットでの差別発言、自由と規制の狭間で。

上のインターネット上の人種差別的言辞のレポートについての報道の関連記事。
17日付けのペーパー版ではこの記事が一面トップ*1


Entre liberté et contrainte, l'OSCE cherche un "code des bonnes pratiques"
LE MONDE 16.06.04

欧州安全保障協力機構会議。自由と規制の狭間で良識ある規範を探る。
ル・モンド、6月16日(ペーパー版17日付)

インターネット上での人種差別的憎悪の洪水をいかに有効な手段で食い止めるか。それも強権的国家にメディア規制の口実を与えないようにしながら。6月16、17日パリで、国の機関、NGO、インターネットビジネスの人々がはじめて一同に会し、ネット上の良識ある規範を定めるための議論を行うことになった。しかし表現の自由の原則に重きを置く北米の立場と、より厳しい規制をしばしば伴う法制をもつヨーロッパ各国の立場との間に妥協点を見出すの常に容易とは限らない。

フランスの提唱により、ミシェル・バルニエ外務大臣の開会の辞とともに、OSCE(欧州安全保障協力機構 The Organization for Security and Co-operation in Europe)の主催のもとに開かれるこの会議では「憎悪に根差す犯罪とインターネットにおける人種差別的プロパガンダ、外国人排斥、ユダヤ人差別との関係」が検討される。OSCEはウィーンに本部を置き、ヴァンクーヴァーからウラジオストックまでの55か国、すなわち旧ソヴィエト陣営を含むすべての欧州の国とアメリカ、カナダをメンバーとしており、徹底した自由主義の信奉派と国による指導の擁護派が同席する広範な話し合いの場となっている(一方、東欧圏特にコーカサス地方のようなところでは検閲と一切の規制のない放任主義が併存しているのだが)。
......


OSCEのホームページでは会議についてのコミュニケがある :

Paris meeting begins with calls on OSCE participating States to act against hate speech on the Internet

日本はOSCEの加盟国ではないが、パートナーということになっていて外務省のページがこの機関について詳しい

メンバーでないので自動的には出席国にはならないがネット大国で表現の自由が保証されている国の一つとして日本がこういうところでかやの外というのは、見ていてあまり面白くない。もっとも日本は北米派に属するわけで、会議に参加しなくてもアメリカが代弁してくれるということだろうか。参加して擁護するものが何かということもあるし、欧州の常識からすれば驚嘆すべきようなものが放任されていることが明らかになってつつかれでもすればそれこそやぶ蛇となる。

日本と欧州の実態やモデルはあまりに遠いので比較の対象にならないし、必ずしも参考にならない。ただ、「○×人シネ」のようにネットに書き込む自由は必ずしも自明のものではなく、北米から目を転じればむしろそういう権利を謳歌できるのは特殊ケースだということはショック療法としてももっと皆知っておいて悪くない。

*1:リベラシオンの一面を見ると派手な写真とともに同じネタがトップ