RER-D 人種差別傷害事件は嘘


19:13 にル・モンドのメール : Agression du RER : la jeune femme a menti (RER暴行 女性は嘘をついていた)。シンプルなフランス語でいい。お腹の鉤十字は同居の男性の助けを借りて書いたものとのこと。詳報にあたるル・モンド転載のAFP電は

RER D : selon la police, la jeune femme avoue avoir menti
LEMONDE.FR | 13.07.04 | 19h17 • MIS A JOUR LE 13.07.04 | 20h06
警察によると、女性は嘘をついていたと白状した。


文中でも、伝聞あるいは100パーセント確実でないことを表す条件法過去を使って「...らしい」という表現や、警察筋によるとという表現を何度か用いている。伝えるほうもどうやら懲りたらしく慎重な言い回しをする。事件の最初の報道に足りなかったのはこうした表現。被害者を称するものの訴えに吟味なしにとびついたということではウトローの教訓が何もいかされていない(といっても被害者を疑ってかかるわけにもいかないから難しいところだが)。気づいたらル・モンドはペーパー版ではこの事件を一度も一面大見出しとしていない。タイミングの関係もあるだろうが、ペーパー版をあとから見ると見識を保ったということになるが、別の見方をするとTVと競う「汚れ仕事」の部分はサイト版が引き受けていることになる。


国家元首までまんまとかつがれたことになる。警察としてはどうにか7月14日までに解決したかったろうから一応めでたしめでたし。この事件、7月8日にシラク大統領が演説で人種差別をなくすための国民の奮起を訴えた直後、7月14日直前という時期的要因を抜きにしては考えられない。7月14日直前になると「自由・平等・博愛」のおまじないが思い出したようにあちこちからでてくる。よく言うところの共和国の理念の国民的再確認である。暴行事件はネガティブな教訓として7月14日の理念再確認に利用されるはずだった。その期待がマスコミにも政治家にもあったはず。期待が一種の狂騒を生み出した。結局は空騒ぎで、明日はもっと軽薄で少し幸せないつもの7月14日となるはず。「な、やっぱり。女性が電車で襲われているのに、フランス人が誰も何もしないはずはないだろ。ぜったい変だと思ったよ。」とか何とか皆でしゃべくりあいながら。


朝の宿題は後回しか、お倉入り。