ムンクの「叫び」強奪−−「いかにも盗んでくださいと言わんばかり」

オスロのムンク美術館から、「叫び」と「マドンナ」が強奪。
Vol à main armée au musée Munch d'Oslo: "Le Cri" et "La Madone" dérobés

AFP | 22.08.04 | 13h54

現地時間で11時ごろとのこと。

公営ラジオ局のフランス・ミュジックのプロデューサーがたまたまヴァカンスで居合わせ、防犯策が皆無だったことに驚くコメントを発している。

驚くことに、この2の絵は第1展示室、つまり出入り口に一番近いところに展示され、金属線で吊り下げられていただけだった。
ボディチェックも、身分証チェックも防犯装置も、警報機もない。盗みたくなるような気をおこさせるくらいだ。

AFPの続報では、このプロデューサーの証言をフィーチャーしている。

そのとき私は観光で美術館にいた。11時10分ごろ突然、二つの絵が置いてある第一展示室から人々の叫びが聞こえた。展示室は入り口から30メートルほどのところ。
犯行に1分とかからなかった。30秒くらいかもしれない。警報機は一切鳴らなかった。絵には何も防犯対策が講じられていなかった。

と生々しい。

音楽番組のプロデューサーだが、ラジオ局勤めだけあってやはりジャーナリズム精神旺盛というか、好奇心の強い人らしい。

それで私自身、別の絵を少し持ち上げて、防犯装置がないことを確かめてみた。アラームもなければ電線にも繋がっていない。ただの金属線だけ。

フランス・ミュジュックの姉妹局 フランス・アンフォのサイトもAFPに流れた彼の証言を引き、さらに詳しく解説している。前にも一度盗まれたのは覚えていたが、次のような事実はこの解説ではじめて知った。

縦横 91cm×73cmのこの絵は4枚完成されている。

Verdens Gang 紙によると、ムンク美術館はこのうちの2枚を所有している。1枚が展示され、これが日曜日に強奪されたもの。もう1枚は保管庫にしまわれている。3枚めは個人蔵。

最も有名な4枚めはオスロ国立美術館に展示され、これも1994年2月12日にリレハンメル冬季オリンピック開会式の数時間前に梯子をつかって簡単に盗まれていた。この作品は3か月後無傷で発見。1997年8月に犯人の元サッカー選手Paal Enger が窃盗の罪で懲役6か月を宣告された。

偶然にも午前中からずっとフランス・ミュジックを聞いていたが、音楽を中断して臨時ニュースを流す...なんてことはなかった。

◆続報1: 警報装置にはつながっていたと美術館は説明。展示室内に音はしなくて、別の場所でしらせるタイプとのこと。
◆続報2: 盗難保険に加入していなかったことが判明。水害や火災に対する保険には入っていたが、盗難については未加入。代替不可能な作品なので盗まれたら終り。保険でカバーしても意味がないと美術館側は説明。
◆続報3: 犯人が絵を運び出すところの映像は → Euronews に。美術館の館長のインタヴューもある。「防犯対策には限りがある。刑務所のセキュリュティだって万全じゃないからね。 一方美術館の人間らしさも守らなければいけないから」と、懲りているようすはない。