仏記者人質事件:新3条件提示声明の「イスラム過激派サイト」(あるいは単なる掲示板)

TF1が問題のサイトについて少し詳しく紹介していた。ぴんときて、問題のサイトにアクセスしてみる。アラビア語は読めないが機能は分かる。単なる掲示ソースコードをみると PHPBB2アラビア語版。投稿者アイコンを使ったり好きな写真をアップしたり。こういうサイトをイスラム過激派サイトとして紹介し、投稿メッセージを犯人グループの声明として扱うほうがどうかしている。フランス語や日本語でよければ私でも声明文が投稿できるはず。

TF1では専門家がサイトのオーナーをスイス在住のチュニジア人と割り出し、電話で接触したと報道していたが、なんのことはないドメイン名をWho is で検索すれば名前、住所、メールアドレス(hotmail)、電話番号までばっちり出ている。6日にこの怪しい声明文のニュースが出たときに一度だけアクセスしアラビア語が読めなかったのでろくに見なかったが、もうちょっと仔細に見ていれば単なる PHPBB掲示板とわかったはず。時間がなかったので不精して Who is もかけなかったは残念だった。手間をおしまず少し自分で追求していれば、相当怪しげな「声明」というのはフランスの大メディアの報道を待たずともすぐに分かったはずだし、アラビア語のわかる友人にサイトを見せて問い合わせればどんなコンテクストか分かり、この日記でその実態をちゃんと紹介できたはず。

それにしても FTPでアップするようなサイトや、せめてブログ程度のパスワードで管理するページと、オープンな掲示板の区別もつけずに「イスラム過激派サイト」として扱う通信社や新聞、TVのネットメディアリテラシはどうなっているのか。。ここに出ていてアルカイダビン・ラディンに近い筋の宣言かも知れないと紹介されている他の声明もお里が知れたものだ。どうも「イスラム過激派サイト云々」という報道に惑わされて、ろくでもない情報が一人歩きしているケースが多そうだ。

少しは真に受けて損した。

暇な人のために。こんなようなところ →
www.islamic-minbar.com/forum/viewtopic.php?t=2001

参考までに、これについての日本語の報道(Yahoo!Japan - Reuters)

イラクの仏人記者拘束、武装グループが身代金500万ドル要求

[ドバイ 6日 ロイター] イラク武装グループに拘束された2人のフランス人ジャーナリストについて、武装グループは、500万ドルの身代金を要求するとともに、48時間の期限を設ける声明をウェブサイトに載せた。
 声明によると、武装グループは当初、2人を解放する計画だったが、数々の攻撃がその妨げになった、としている。
 フランスのラファラン首相は、RTLラジオに対し、「この種の情報については常に真剣にとらえている。現在、情報が信頼できるものかどうか確認しているものの、現時点では確認はとれていない」と語った。
(ロイター) - 9月7日7時32分更新