50歳のマリ・クレール

マリ・クレール −−アンガージュマンの半世紀
«Marie Claire», un demi-siècle engagé

男性至上主義に抗し、中絶権に賛成して、女性のあらゆる闘いを担った雑誌
Contre le machisme, pour l'avortement, le magazine a été de toutes les luttes des femmes.
Par Catherine MALLAVAL
vendredi 17 septembre 2004 (Liberation - 06:00)

なにやら威勢のいいタイトルだが、マリ・クレール誌創刊(厳密に言えば戦後の再刊)50周年記念を紹介するリベラシオンの記事。リベラシオンの記事は、なかなかひねりが利いているが、例によってフランスの風俗や現代史についての文脈依存が多い文章。同趣旨だがNouvel Observateur の記事のほうが読みやすい。

マリ・クレール、50歳を祝う
Marie Claire fête ses 50 ans

NOUVELOBS.COM | 18.09.04 | 16:06
デザインを変え、闘いを続け、世界中で25の版を出しながら外国での発展を目指す女性月刊誌
Le mensuel féminin change de format, continue ses combats et mise sur son développement à l'étranger avec 25 éditions dans le monde entier.

いずれも、1960年代の中絶合法化権運動、1977年の女性の同性愛に関する問題提起、最近のドメスティック・ヴァイオレンスやベール問題への関わりなど、フェミニスト雑誌としてのマリクレールの歴史を紹介する。ふだんはファッション雑誌の性格の影に隠れ、また政治の70年代に比べればそれほどでもないが、Elle や Marie Claire といった雑誌は 女性問題について何かことあるごとに参与してきた。最近でもベールの問題でElleが展開した請願は世論に大きな影響力があった。フランスの、特に60年代、70年代のフェミニズムの歴史を追うとき、あれこれの理論家の書くものだけでなく、世論への影響力という言う点では、Elle や Marie Claire といった雑誌の役割にも注目するべきだろう。

50周年を祝う Marie-Claire のサイトは → http://www.marieclaire50ans.fr/

サイトでも読める「編集長のことば」では、54年の創刊以来の女性問題への関わりを思い起こさせたあと、

しかし『マリ・クレール』は時代に革命をもたらした戦う女性のマニフェストだけではありません。愛やモードを愛する雑誌でもあるのです。
Mais Marie Claire n'est pas seulement le manifeste de la battante qui a révéolutonné son époque. C'est aussi le journal des femmes qui aiment l'amour, la mode.

わざと直訳したが、日本語にするとまるで『赤旗』か何かの宣伝のよう(笑)。一面を返せば、こうしたディスクールがフランスではいまでも商品になるということでもある。

率直な大義か商品化かどうかは別として、フランスの女性雑誌のこうした側面も輸入過程で漂白されることがらの一つだ。フランス文物を輸入するとき、税関ではなく輸入業者が「闘争」と名のつくものをとりはずしているように思える。

50周年にあたる10月号には、妊娠中絶を合法化のために闘い、1975年成立の法律(ヴェイユ法)にその名を残したシモーヌ・ヴェイユ元保健大臣のインタビュー。またこの50年で活躍した50人の女性(存命)にその個性を際立たせるようなファッションをさせたパノラマ写真を一挙に載せる。現代のフランスの社会風俗を知る上で面白いので名前を列挙しようかと思ったが、人によっては説明が必要で長くなるので気が向いたら近いうちに。