フランスが首位奪還−−セックス回数国際比較
Franzosen haben am häufigsten Sex -- "Global Sex Survey 2004"
最もセックス回数の多いのはフランス人 −−世界性行動調査2004年
11. Oktober 2004, Der Standardセックス世界チャンピオンにフランス人が返り咲く。年間137回で、フランス人は去年のダークホースチャンピオン、ハンガリー人 (131回)を王座から蹴落とし、世界全体の平均103回を大きく上回る地位を獲得した。
Die Franzosen haben den Titel Sex-Weltmeister zurück erobert: Mit 137 Mal Sex im Jahr haben sie die Ungarn (131) - die Überraschungssieger vom vergangenen Jahr - vom Thron gestoßen und liegen damit weit über dem weltweiten Durchschnitt von 103 Mal jährlich.
コンドームメーカーの Durex が実施している恒例の調査の2004年版「Global Sex Survey 2004」の結果。ドイツの Google News の見出しで見つけた話題で、なぜか当のフランスではまだ記事になっていない。ドイツではというと Frankfurter Allgemeine Zeitung や Süddeutsche Zeitung といった代表紙がとりあげている。上の引用は、まとめのよくできているオーストリアの Standard 紙の記事から。元データはすでに → Durex のサイトにアップされている。html版は一部読みにくいが、PDF版は→こちら。
今年は41か国、350,000人を対象に調査とのこと。記事は「やはりフランス人か」というステレオタイプによく合うようにできているが、仔細に見るとすこしニュアンスが必要。フランスは、確かに2002年に167回で1位だったのが、2003年に144回で、152回のハンガリーに抜かれ7位になっていた(この年なんと1位から6位まですべてロシアおよび東欧諸国)。今年、137回で1位というのは全体のレベルが沈下したことによる。フランス人でいうと2年間で週3回強から週2.5回強のペースになったということになる。
気になる日本人は、というと、41か国中、最低の回数で年46回。上のDer Standard 紙の記事で「日本人は非常に弱い Japaner sehr schwach」というあまり名誉でない太字の小見出しになっている。回数だけがすべてではないが、それにしても40位の香港の79回から比べても、異常に低く、グラフに段差ができている(2004年の回数くらべのグラフは→こちら)。日本は実は2001年に参加していて、それ以来2年間の休みを置いての登場だが、2001年の結果が36回だったから、それからくらべると月3回から月4回ペースへの進歩ではある。全体的に見て儒教圏が少ないというのはいえそうだが、それにしても「グローバルスタンダード」との日本の特別な乖離は目立つ。伝統的なものなのだろうか、歴史の中の一時的現象だろうか、それとも調査の方法に問題があるのだろうか。日本人の性行動に関するこの認識が国際常識になると、ウタマロという語のれぞんでえとるにかかわる。
この調査、毎年質問項目の構成が変わり今回は性教育の項目に力を入れているが、ニュースに登場するときは一番分かりやすいオリンピックのような国別回数対抗がいつもとりあげられる。
ドイツの記事ではドイツ人が2位になった前戯時間の長さをとりあげる。これの1位はイギリス人の22.5分。ドイツ人は22.2分。ちなみに日本人とフランス人はタイで19.5分。しかし有為差のある数字とは思えない。また、質問票を見ていないのでなんともいえないが、質問が自己回答である限りそれぞれの文化による時間把握のシステムの違い−−例えば、25分という刻みよりも half an hourという把握を好むかどうか−−にも依存するだろう。
「オーガズムの回数」という項目は、交接回数そのものよりも文化的には面白いが、全体のグラフで男女が分かれていないので、全体的意義が把握しがたい。それにしても国、性別全体をひっくるめた平均が35/100、つまり10回のうち3.5回というのは人間の文化にとって哀しい数字だ。これはイタリアの61/100 から中国の19/100 まで差がある。これには文化・性意識に依存するオーガズムの定義も関係してくるかもしれない。男性の場合は比較的事態が単純だが、女性にかぎった数字を見れば、ある面での女性の地位、あるいは女性の生活の質に関する国別の指標になるようにも思える。ちなみに日本(30/100)とフランス(32/100)は平均よりやや下でほぼ同じ。セックスを生殖の面でなく、快楽という面から考えると、機械的なセックスの回数でなく回数にこのパーセンテージを掛けた数字に大いに意味があるとも考えられるが、そうなるとイタリア、旧東欧圏などが上にくる。
これまでのセックスパートナーの数という項目がかなり意外な結果を見せる。まず全体平均が10.5人だが、1位は中国人で19.3人。2位のブラジル人、15.2人を大きく引き離す。なお日本人は12.7人で、ここでは堂々3位。フランス人は平均以下の8.1人。ドイツ人は6.3人。ベトナム人が2.5人で最も少ない。これも伝統なのか歴史的変化なのか興味のあるところだ。
だんだん話が怪しくなってくるが、あとイギリス人の51%が目隠しや手錠を使ったことがある(フランス人 28%、日本人 26%、中国人 8%)とか、バイブレーターの所有率がアイスランド人の52%からベトナム人の5%まで(イギリス人 49%、アメリカ人43%、中国人 40%、日本人 30%、フランス人 20%)などという文化的に興味のつきない話もいろいろとある。
コンドームなしのセックスの比率、性教育を始める年齢、男性用ピルを飲んでもいいと考える男性の比率、性政策に関して政府が力を入れてほしいアクション等々のもっと「シリアス」な項目もあり、今回の調査発表では、それらが「年間回数」その他性行動の項目の前に置かれているが、この紹介でもやはりスキップしてしまった。これは各自どうぞ。