コートジヴォワール情勢

現在のル・モンド・ネット版(7日深夜)の一面見出しは、

コートジヴォワール、現地フランス人の安全が最優先課題
Côte d'Ivoire : priorité à la sécurité des expatriés

6日にコートジヴォワール軍が反政府軍に対しておこなった爆撃で、フランス兵9人が死亡したことから、一挙に情勢が悪化した。7日のAFPの記事をコメント付きで紹介した、id:temjinus:20041108#1099854300 あるいは、6日づけのリベラシオンの記事を翻訳した、 media@francophone を参照されたし。こうした情勢に至るやや詳しい解説には、ル・モンド・ディプロマティクの9月号に掲載された記事、邦訳タイトル「コートジヴォワールはどうなっているのか」がある。また、フランス語だけだが、NouvelObs.com 掲載の 2002年以来の時系列にそったまとめは、事実の確認に便利だ。

この後に付加える情報としては、国連の安全保障理事会が非公式の緊急会議で、フランス軍への攻撃を非難し、平和維持任務のために、国連平和維持部隊、フランス軍に「あらゆる必要手段」を講じること(=武力行使) を許可する決議を全会一致で採択したことくらいか。これは→朝日の記事が簡潔にまとめてある。

現在、平和維持活動のためコートジヴォワールに駐留する国連軍は6000人、これに加えそれを支援するフランス軍が4000人。コートジヴォワールのフランス人の住民は14000人、そのうちの8000人がコートジヴォワールとの二重国籍

フランスからの「報復」が早かったのは、対応が即座でないと、平和維持軍としての威信がゼロになりさらに状況が悪化することが目に見えているからであり、これはコソヴォから得た教訓といえる。リベラシオンにあるように、アナン国連事務総長もそれを恐れていたようだ。この辺は日本から見てなかなか理解されないらしい。コートジボワールのキーワード検索から見てみると、「フランス軍がコートジヴォワールに報復攻撃」という見出しレベルの情報が一人歩きしているようだ。それどころか、旧宗主国の植民地に対する違法な軍事介入のような解釈もある。旧宗主国の経済利益、平和維持活動、現地の小独裁者たちの争い、ナショナリズム、内戦の危機、人道的介入などの要素はもっと複雑にからまりあっている。