§7.Skyblog探訪記 −− fenestrae拾遺

Skyblog探訪は実はすでに id:yskszk さんによって問題の3月の「高校生、教師中傷事件」に際してなされていて、探訪記がちゃんと書かれている(id:yskszk:20050328#p4)。もともと日本のネット事情をあまり知らない私の探訪記よりも、日本のブログを知り尽くした yskszk さんの観察のほうが、日本との比較では有効だと思うので、それを採録さsてもらいながら、上の情報でわかったことなどで、説明を少々追加していくことになる。yskszkさんの観察では「とにかくユーザー層が若いのが第一印象」で、

・ブラック・カルチャー好きの男の子が多い
・たまにポエムを書いている女の子がいる
・「正しい」フランス語にあえて逆らっている表記(大文字の「E」の代わりに「€」を使ったり)が目に付く
・テキストよりも画像データを多用
・なぜかコメントの投稿数が尋常ではない
・色使いがとにかく派手

ということであった。利用者の年齢層や文化的嗜好に関してはすでに、探訪記のコメント欄で語られているように、このブログの母体のSkyrockの視聴者層のそれで説明できる。「正しい」フランス語にあえて逆らった表記は、この層に普及しているSMS(携帯のショートメッセージ)の略表記、「音声中心主義」表記の習慣(c tro bo ce ke ta écri é triste en méme ten = C'est trop beau ce que t'as écrit et triste en même temps)から来ているのだが、これが一つの文化的規範になって、この表記をすることが仲間入りできる条件になっているからでもある。テキストよりも画像データが多いのは、このSkyblogおよび後発類似サービスのブログでも特徴でもあるが、じっくり中身を読むというより、一目で見て、一目で楽しめるものがこの手のブログの中心になっている。ザッピングするように色々なブログを見て、目をひかれものを、ブックマークしたり、過去のエントリーを読んだり、さっさとコメントするというような読み方が中心ではないかと思われる。そして創始者のメディアの収斂・融合の期待に答えるかのように、動画画像へのリンクやGifアニメが多い。そして、ページデザインがほとんどいじれず、規格化された中で個性をつけなければいけなので、背景の色や、字の色を派手にしようとするのだと思う。またトップページの自己紹介欄には、音声ファイルによる自己紹介へのリンクもあり、これに対して、電話伝言サービスで返事ができるようになっている。この機能にはかなり怪しい使われ方もありそうな気がする。トップメニューに Skyblogs vocaux と紹介されているのが、自己紹介欄に音声が置かれているブログ。少し試してみたがあまりまともなものはない。ここでラップをやったりとかできる。

それにしては、ブログというには問題があるのが、カレンダーがなく、エントリーにタイムスタンプさえない。アーカイブはクリックで戻りながら順送りに見て行くか、ページ番号を指定できるスクロールメニューがあるだけである。ここでは時間の観念は、トップにある最新ページが更新されるということではかられる「今」にしかない。コメントだけにはじめてタイムスタンプがつく。基本的に絶対時間軸上の観念は本文にはなく、追い越される「今」の蓄積がアーカイブに残っているだけだ。

ここでは、たくさんの人に読まれ、人気ランク上位に入るというのに重要な価値観が置かれていて、総合アクセスランキングのほか、過去1週間、過去60分の人気ランクというがある。また、好きなサイトが見つかったとき、おなじブロガー仲間にメールで気に入ったブログを知らせるのが推薦されていて、一回に5人までお知らせ推薦メールが送れるようになっている。そして推薦メールの多いブログ人気ランキングがある。過去一週間の人気ランクのところにそういえば、中学生くらい感じの女の子のポエムブログがあり(http://mon-ptit-coeur.skyblog.com/)、コメントの数がやはり尋常でなく100というのはざらで、500を超すときもある。詩というのは通常のホームページの時代から男女のものにかかわらずよくあるテーマである。また、コメントの数が日本にくらべてやたら多いというのは、Skyblogだけでない、フランスのブログの一般的傾向で、後でまた触れる。