EU憲法NON後の記事クリッピング3タイトル

↓というわけで、データが全部とんでしまったが、欧州憲法に関して、5月29日の投票日以降、現段階までで印象に残っている記事を思い出すと、次の3つ。

筆者のユベール・ヴェドリンは、ジョスパン内閣のときの外務大臣。欧州憲法EUでのフランスの立場、フランスの社会保障モデルのEUでの可能性、欧州建設等等が現実に置かれた厳しい状況を明確にしながら、一方で、欧州とフランス国民の間の長い時間をかけて生じた冷却関係を直視すべきだとする。そして、やみくもにすべてをEUに託したり、EUのせいにして批判するのでなく、具体的な個々のプロジェクトをもとにEUを再構築し、かつ、EUと国家の権能についての明確な再定義すべきだ。フランスの社会保障モデルをEU全体に広げるのは不可能だという現実から、そうした社会政策はまず国民国家内で行うしかなく、そしてそれをまずフランスは、自分の力で自分の足元で成功させなければならないと。左翼のノンの安易な「もう一つの社会的欧州」論へ現実を突きつける論にもなっている。この先のEU拡大、特にトルコの加盟問題についても微妙な示唆的発言。

今度の論争で左翼がバラバラになり弱体したという認識、そして一部の左翼が排外主義、ナショナリズムの罠に陥いったという批判を出発点に、そうした罠に陥ることなく、エコロジーとオルタグローバリズムという二つの軸を維持しながら左翼が結集していくことが可能か、そのためにはどうしたらいいかと問う。見通しは楽観的な気がするが、分析は適確。

EU憲法起草委員会の議長である、ジスカール・デスタン元大統領が5月29日以降初めて発表した文。長文。問題含みの第三部が憲法の中にあの形で含まれた理由づけも分かる。いわば自分の子供が殺された立場にある人間の文だが、冷静さを失わず、なぜ批准が失敗したかについての分析は適切。これからのEU憲法の将来についてはかなり悲観的だが、当たっていないとはだれも保証できない。が、憲法の起草者がジスカール・デスタンだということさえもEU憲法批判の根拠にしていたノン派には、そのことばはまず届かないだろう。中学・高校生レベルのフランス語で理解できる極めて平易な文章で、フランス語のお勉強にもおすすめ。