RER-D事件のあと始末。
事件を作りあげた女性の個人的事情などについてもいろいろニュースが出ているが、これはひとまず置き、事件が被害者の主張のみで他の情報での確認がないまま、なぜどのように国じゅうあげての騒ぎになったか検証している記事を探す。
14日付けのリベラシオンが互いに関連する2本の記事。まずその一つは
これは警察の捜査情報がどのようにマスコミへ流れていったか、政治家がどう反応したかを、時間を刻みながら警察、内務省、マスコミの内部事情に触れレポートする。政治的インパクトを持ったニュースがどうやって生まれてくるかが垣間みられるだけでも面白い。非公式・半公式の警察筋というのがやはり大きな情報源だ。AFPは最初、物理的な裏をとろうとしていたが、いつのまにその努力は放棄されている。そして19時42分に出たAFPの第一報では、「ストーリーは断定的で条件法をまったくふくまず、すべてはこの女性の証言だけによっているということもまったく触れられていない」。
「本当にしては凄すぎるストーリーについて事件の最初からジャーナリストがなんらかの疑いをもていたにせよ、日曜日の間じゅうたとえばリベラシオンの中でも疑いはあったにせよ、最初の警察発表の説を否定するような報道側からの調査が月曜の朝刊に出てくることはなかった。状態は捜査の進行の中で警察自身が間違っていたと認めるまで続き、そのあとやっと「暴走」は息切れした。」
実は暴走という点ではリベラシオンも他紙に負けてはいなかったのが、記事は上のような負け惜しみとも反省ともいえるような言葉のあと、次のような平凡であいまいな結論で閉じる(ちょっと「超訳」風だが)。
「[熱中は去ったが]物笑いの種という感覚は残る。集団的な過ちの馬鹿馬鹿しさが。そしてこれはわれわれの社会のいくつもの病気を露にしている。 Mais le ridicule reste, celui d'une erreur collective, révélatrice de plusieurs des maux de notre société.」
同日のリベラシオンのもう一つの記事は
RER事件 分析 多くの政治家たちが感情路線の主役。同情示しまくり戦略の罠にはまった大統領。右から左まで皆がつっぱしる。
Affaire du RER Analyse -- Des politiques champions dans la course à l'émotion. Le chef de l'Etat a été pris au piège de sa stratégie de la compassion permanente. De droite à gauche, tous se sont précipités.
こちらはニュースに飛びついた大統領をはじめとする政治家たちの態度についての分析。
ル・モンドにも同様の記事
国のトップから始った暴走。
Récit d'un emballement parti du sommet de l'Etat
LE MONDE | 14.07.04 | 13h21 • MIS A JOUR LE 14.07.04 | 16h27
こちらは政府側の対応を中心に紹介。どちらかという淡々と事実経過を記述。タイトルとうらはらに過剰反応に対する批判はこの記事ではリベラシオンより少なくクール。批判は主に社説で。
◆ 追記(7月18日) ル・モンドがの自己の立場についても反省を加え謝罪を行った社説(ペーパー版は15日付け)の翻訳は→こちらで読める。