スペイン版 8人の女たち

fenestrae2004-08-21

豹皮のソファーに横たわる者、大理石の柱に背をもたさかけるもの。皆がポーズをとって。サパテロ内閣の8人の女性大臣がスペイン版ヴォーグ誌でモデルとなったことでマスコミで批判を集めている。写真の中央には副首相のマリア・テレサ・デ・ラ・ベガが見える。全身白の服でポケットに手を入れたくつろいだ様子で。その左にはクリスチナ・ナルボナ環境大臣がタレントのように椅子の肘掛けに座っている。

マドリッド首相官邸の前庭でとられたこの歴史的フォトのために全員の髪型、メーキャップ、服は有名スタイリストに入念に準備された。[...]この魅惑作戦が女性閣僚を多くの人に知ってもらうことにあるとしたら、目的は達せれたことになる。しかも激しい論議を呼び起こすというおまけまでついて。

このファッション写真への最も厳しい批判はスペインのフェミニスト団体からなされた。女性の権利のための団体はこれまで組閣で男女同数政策を厳密に守った−−女性8人、男性8人−−社会党の行動を賞賛していたが、サパテロ内閣が女性閣僚たちの女性的側面を−−あたかもそれが彼女たちの仕事のもう一つの美点であるかのように−−強調しすぎたことを批判する。「どうして男性閣僚にもモデルのようなポーズで写真をとってもらわないのでしょうか?」と、運動の代表者の一人は言い、「こんな写真は 権力にある女性も魅力的で女性的だということを示したいがためのものなのでは」と付け加える。...
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サパテロ内閣の女性閣僚たち、時評を騒がす Les femmes ministres de Zapatero défrayent la chronique」と題する21日付けのフィガロの記事。ル・モンドその他、主要新聞、雑誌にも類似記事がある。

スペインのニュースを見るとすごい数の記事。女性団体に加え、批判陣営の一翼を占める野党保守党と当の女性閣僚たちの議論の中で、スペイン版ヴォーグの編集長がこんな議論になるとはと驚きを表明している。

女性政治家の数が多くなり、年齢が若くなるとだんだんこういう機会も増えてくるわけだが、いちいち目くじらをたてるべきかどうか。まあフェミニスト団体の言い分も分からないではないが。女性が政治家の妻として写真をとられるよりはましな時代といえる。社会党は以前にアズナール首相(当時)の夫人が大衆向け雑誌のモデルなった件を皮肉っているという。

8人揃ってではないが、フランスの女性政治家が雑誌に出るとき、スタイリストが良くて実に奇麗に取れていることがときどきある。社交的な夜会で胸の大きく開いたドレスのときや、ヴァカンスでラフな格好をしているときなどの写真はときどきドキリとすることがある。こういう発言もやはり女性差別として批判されるんだろうな...政治におけるパリテ(男女同数政策)の導入に全面的賛成の立場なんだが。