仏記者人質事件:イラク・イスラム軍サイト(自称)の最後の声明

フランス人人質犯、声明を準備中か?
Les ravisseurs des otages français prépareraient un communiqué

jeudi 16 septembre 2004 (Reuters - 16:22)

イラクイスラム軍は、そのインターネット・サイトを閉鎖する直前に、同グループが拘束していると主張している2人のフランス人人質の処置について「ここ数日のうちに」判決をくだすと確認していたと伝えられている。
PARIS - L'Armée islamique en Irak aurait confirmé, avant de fermer son site internet, qu'elle rendrait "dans les prochains jours" son verdict sur le sort des deux otages français qu'elle dit détenir.

ル・モンドでは次の記事で伝える

イラク・イスラム軍は2人のフランス人記者に「判決」を下すと宣言
L'Armée islamique en Irak veut "juger" les deux journalistes français


LE MONDE | 16.09.04 | 14h52

クリスチャン・シェノとジョルジュ・マルブリュノの拉致犯人は連絡を絶ち、間もなく「判決」を下すと宣言。フランス政府は、アラブ世界の支援を求める努力のあと、緘口令を敷き、慎重な態度を取っている。

Les ravisseurs de Christian Chesnot et de Georges Malbrunot ont coupé les contacts et annoncent qu'ils rendront, sous peu, leur "verdict". Les autorités françaises, après avoir cherché des appuis dans le monde arabe, reviennent à des consignes de prudence et de discrétion

この声明が発表されたサイトは先週の水曜日9月8日に、フランス人記者の運転手を務めいっしょに拉致されているシリア人運転手の息子にスパイの嫌疑を表明し、近いうちに判断を下すと予告していたのと同じサイト。また一昨日には、アルジェリア外交や第一次湾岸戦争に遡り、フランスをイラスムの敵として糾弾して話題になっていた。

サイトが本当に犯人グループのものかについての確認はとれていない。フランス政府はサイトの声明について慎重に分析中と答え、他の点についてはノーコメント。専門家のコメントでも、声明は一貫しているとしながら、フランスをイスラムの敵と糾弾した際の歴史的事実への言及に多くの誤りがある点には疑問をなげかけている。また第2の声明のフランスをイスラムの敵とする部分がニュースでは大きくとりあげられたが、AFP-ル・モンドの記事には、同じ声明の中で、ジャーナリストと人道的活動をするものは尊重するという部分がある点について注目した分析があった。この声明が本物としたら、犯人グループが栄光ある撤退を探していると解釈することも可能。

最後の第3の声明は昨日、サイト閉鎖の前に数時間だけアクセスできたらしい。ホスト先はtripod (iaminiraq.tripod.com)、第2の声明が出たときアクセスしてみたが、複数の人質事件の写真を掲載したおどろおどろしい見かけと、tripod の広告のコントラストがなんともおかしかった。

長引く拘束、情報の少なさ、フランスをイスラムの敵とする声明などで、人質の生存はほぼ確認されているという政府の発表にかかわらず、世論は懸念を深めている。ル・モンドの今日のネットアンケートの結果では、2人の人質の解放に「楽観的」とするもの25%、「悲観的」とするもの62%。

フランス人人質の解放をめぐってアラブ世界の世論が盛り上がったことが、逆に彼らを貴重な駒にし、拉致に関与しない者たちも含めてあらゆる勢力が様々な方向で政治宣伝に利用している。上の第2の声明の中で、フランスの犯したイスラム世界への犯罪の一つとして、1992年に「アルジェリアイスラム救国戦線 Front islamique du salut が政権につくのを妨害したこと」というのがあげられている一方、アルジェリアでは、テロ行為で服役中のFIS(イスラム救国戦線)の前指導者が、2人の人質に連帯を表明し解放を訴えてハンガーストライキに入り、1990年にジャーナリストを標的としたテロによって何人も記者を失ったアルジェリアの新聞 El Watan に思いきり揶揄されるというエピソードまで生まれている。