仏記者人質事件:拉致から1か月

2人の記者とシリア人の運転手が消息を絶ったのが8月20日。その1週間後に犯人グループからの、人質のビデオ付きの声明がアルジャジーラに送られ誘拐事件とわかる。それからすぐに反応した国内外の世論のたかまり、活発な外交戦術の中で生じた解放間近の楽観的見方は10日ほどでしぼみ、政府は関係者、マスコミに慎重な態度で臨むよう訴えている。

現在の状況について、だいたい同内容の2つの記事

Chesnot et Malbrunot pris en otages depuis un mois
NOUVELOBS.COM | 20.09.04 | 14:13
Otages: un mois d'attente et de valse hésitation
lundi 20 septembre 2004 (Liberation - 06:00)

が現在の状況を簡潔にまとめている。

土曜日に犯人グループからのものと目される新しい声明。ロンドンに本拠を置くイスラム主義団体イスラム・オブサーヴァーが「イラクイスラム軍」から受け取ったメールとして発表したもので、次のような内容(NouvelObsによる要約に基づく)。

イスラム軍は2人のフランス人ジャーナリストの拘束を停止し、2人は現在、イスラム軍と交わした合意に基づいて職務を遂行している。この合意で、2人のジャーナリストは自ら進んで強迫なしに、一定期間、イスラム軍のために抵抗軍の戦いぶりを取材し撮影することを承諾した。期間については、イラク人の英雄的な抵抗についての2人の撮影内容が公開された後に通知されるだろう。

この声明について、ラファラン首相は信憑性については分からないとしながら、これまでに伝えられた声明文よりも信頼性があるとする。生命の安全について朗報であるとともに、記者たちの置かれている微妙な立場をうかがわせる。

◆もとよりフランス国内では、ジサクジエンとかジゴウジトクのような声は出ようがないが、イスラエルあたりから発信されている過激派シオニストのサイトで事件直後から、パレスチナでの過去の2人の取材態度をパレスチナ寄り、反イスラエルとして批判し、この誘拐についてざまをみろといわんばかりの言辞で触れるものがあった。まともに受け取るものはいないだろうが、こうした中傷に勢いがつくのは明らかだ。

◆シリア人の運転手については別に判決が下される予定と別の声明は伝えていた。今日のリベラシオンの一面の写真で見ると、パリ市役所の正面にかかげられた2人の写真の真ん中にシリア人運転手の写真が加えられている。

◆上のフランス人記者、シリア人運転手の人質事件以外に、現在未解決の拉致事件を中心に暴力のエスカレートについて、ル・モンドの記事 「De nouveaux rapts et un ultimatum qui expire pour les deux Américains et le Britannique」が、ざっとまとめている。アメリカ人2人とイギリス人1人、イタリア人女性2人、イラクの国家保安隊員18人、トルコ人のトラック運転手約10人がそれぞれ人質に。また日曜日にシーア派聖職者(ウラマー協会のメンバー)がサドル・シティーで日曜日に誘拐暗殺、一方同日曜日に、ファルージャバグダッドアメリカ軍の攻撃により犠牲者。土曜日にはキルクークで国家保安隊の人員募集センターを狙った自動車爆弾で18人が死亡。