強盗犯から法学教授、弁護士へ

元ホールドアップ強盗に裁判所が弁護士開業許可
Un ex-braqueur autorisé par la justice à devenir avocat

AFP | 21.09.04 | 09h30
ニーム(ガール県)の控訴院は火曜日、元強盗犯で現在法学教授になっている男性に対し、その重い前科にもかかわらず、弁護士開業を許可する判決を下した。クリスチャン・ラプランシュ氏(41歳)は7月にニーム弁護士会に登録しようとしたさいその前科を理由に拒否され、拒否を不服として弁護士会を相手に訴えていた。判事は、原告の完全な贖罪を確信する法院検事の意見を採用した。
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La cour d'appel de Nîmes (Gard) a autorisé, mardi, un ancien braqueur, devenu professeur de droit, à exercer la profession d'avocat, malgré son lourd passé judiciaire.Christian Laplanche, 41 ans, avait saisi la justice après que le conseil de l'ordre des avocats eut refusé, en juillet dernier, son inscription au barreau de Nîmes en raison de sa condamnation.Les juges ont suivi l'avis de l'avocat général, convaincu de l'entière rédemption du plaignant.
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ラプランシュ氏、1987年に郵便局を仲間と襲って警官に発砲し、強盗と殺人未遂の罪で懲役5年(うち執行猶予2年)を宣告。刑務所の中で学業を再開、最後は法学の博士号を取得し、カイエンヌの法学院で民法の教授をしていた。法学博士の保持者には弁護士の開業資格があるため弁護士会に登録しようとしたが、その前科を理由に拒否されたため、今回の訴訟となった。ラプランシュ氏は「私は若げの過ちを犯した。しかし刑期を終え、人生をやり直した。これ以上十字架を背負っていく理由はない」と述べる。一方、ニーム弁護士会は破棄院(最高裁)で争うとしている。

この種の更生出世物語はときどき聞くが、最も有名なのは死刑囚から中世史研究者になったフィリップ・モリスの話だろう。逮捕された兄弟を助けようとして警察と銃撃戦になり警官を射殺。1980年に死刑を宣告されるが、1981年に死刑廃止を公約に当選したミッテラン新大統領の恩赦により終身刑減刑。通信教育で大学入学資格取得から初め、最後は中世史の研究で獄中で博士号を取得。2000年に特別減刑で出所。その体験を語る自伝や博士論文その他の著作が出版されている。
Philippe Maurice, De la haine à la vie, Le Cherche-Midi, 2001
La famille en Gévaudan au XVe siècle, Publications de la Sorbonne, 1998.

後者はともかく前者は日本語に翻訳されても読み物として十分に面白いと思う。改めて調べてみると今はCNRS(国立科学研究所)で活動しているらしい。専門分野での新しい著作もある。彼がTVでしゃべるのを聴いたことがある。81年に刑務所でミッテランの大統領選挙勝利のニュースを聞く瞬間の思い出を語る様子がたんたんとはしていたが生々しかった。大統領選挙の結果は少なからぬフランス人にキャリアの上で大きな影響を及ぼすが、彼にとっては屠殺場への道かそこからの生還かを意味していた。

こうした美しい物語の一方、刑期を終え、あるいは減刑措置を受け出所すると、待っていたかのようにすぐに同じ罪を繰り返す人の事件もある。刑務所での生活の何がその道を分けるのか。