トカゲ台風で死者、行方不明80人近くに

日本を襲う猛烈な台風で死者多数。
Un typhon violent et meurtrier s'est abattu sur le Japon

トカゲ台風日本を襲う。この10年で最も死者をよんだもので、水曜日以来、80人近い死者・行方不明者と300人の負傷者が出ている。
Le typhon Tokage, le plus meurtrier depuis plus de dix ans à frapper le Japon, a fait près de 80 morts et disparus et 300 blessés depuis mercredi.

ル・モンド、ネット版の一面に写真入りででている見出し。本文は→「 Un violent typhon s'abat sur le Japon LEMONDE.FR | 20.10.04 | 19h20 • MIS A JOUR LE 21.10.04 | 08h19


Google News Franceで 国際ニュース欄の2番めにつけ、

Le typhon Tokage tue plus de 50 personnes au Japon
Reuters.fr - Il y a 2 heures
TOKYO (Reuters) - Le typhon Tokage qui a balayé l'ouest du Japon mercredi a fait au moins 55 morts et 33 personnes étaient portées disparues jeudi, at-on appris auprès des services de secours. Tokage, qui ...
Le "taifu" Tokage, le plus meurtrier depuis 1991, a semé chaos et ... Courrier International (Abonnement)
Un typhon meurtrier traverse le Japon TF1
RTL.be - LCI - France 2 - Nouvel Observateur - et 140 articles connexes >>

死者数50人以上とするロイターの記事をはじめ、だいたいル・モンドと同じような内容で、現在エントリーが140件以上

すわ一大事、日本のニュースはさぞかしは大騒ぎだろうと、Yahoo!Japan を見にいくと現在の一面トピックが

トピックス
・中高生にHIVまん延の恐れ
・停車させた車にも刑事責任
・ストーカーの女、今度は脅迫
・海外挙式ツアーに熱い視線
・速報 日本シリーズ第4戦
・敗退の松井秀、本音も口に
・ニコール、ホテルでひんしゅく

Asahi.comのトップが

ニート、6年後は100万人規模?
学校にも行かず、仕事もせず、職業訓練も受けていない若者「ニート」の人口が、2010年には100万人規模に膨らむ、との試算を、第一生命経済研究所が21日発表した。(19:33) 全文 >>

Google News Japan では社会面のトップで、見出し群が

観光バス浸水 屋根も水没、腰まで水 肩組み歌って耐え
中日新聞 - 3時間前
京都府舞鶴市の国道で観光バスが二十日夜に立ち往生し、乗客ら三十七人が屋根の上に避難した。水は一時、バスの屋根を越え、乗客の腰の高さに達したが二十一日朝 ...
バスの屋根、肩組み歌って乗り切った夜 救助の乗客ら 朝日新聞
観光バス水没、乗客ら37人を9時間後救助・京都 日本経済新聞
毎日新聞 - 京都新聞 - 朝日放送(ABC) - 関連記事 54 件 »

フランスのネットメディアで見たときと深刻さの印象が違い拍子ぬけする。

こういうことはよくある。まず時差があるからだろう。日本の事件がヨーロッパで重要ニュースになるときは日本では速報性という意味での「ニュースバリュー」が失われている。その上、Yahoo! Japan や新聞社サイトのネットトニュースの見出しは日本の日中は更新頻度が非常に高い。Yahoo! France などが重要度の高いニュースは場合によっては何日も一面トピックに置いてあるのと対照的に、日本のそれではゴシップやこぼれ話的なニュースによってどんどんと更新されていく。

またたぶんネットニュースが日本のメディア全体で占める位置にもよるのだろう。TVやラジオ、印刷媒体で死者・行方不明者80人という情報が洪水のように流れ、それが認識の基本となって共有されているから、ネットでは同じ事件に関しても新しい補足的な情報にどんどん焦点が移っていくのだとも思える。

しかしこうした日本のネットニュースの状況は国外からニュースを見るもの、国内での他のメディアからの報道にしじゅうされされていないものには、逆に不便な要素になる。現に、私が今、日本のYahooの一面やGoogle Newsの表紙、なにか他の新聞社のサイトをパッ、パッと今の時点でチェックしただけであったとすれば、国際的にも大ニュースとなるインパクトを持った今回の台風の被害の基本的な事実を見過ごし、「ああまた台風か」という程度の認識で通りすぎたかもしれない。死者・行方不明者80人という情報は過去の関連記事の中のどれかにあるのだから、それを見つけて自分で大ニュースとして捉えそこなったものの責任かもしれないが、何を見出しに持ってくるかというヒエラルキーの選択に関して、いくら時差があるとはいっても釈然としないものがある。

日本語が母語として読める私にしてこうなのだらから、日本語がある程度だけ読める外国人にとって、実は日本の基本的なニュースは、英語やフランス語のメディアで見たほうが把握しやすいのではとさえ思ってしまう。特にニュースのヒエラルキーの面に関して。行方不明者・死者80人という重い事実や、それを基本とした被害状況の発展状況を少なくとも48時間か24時間くくらいは見出し、記事の中心にすえるような正攻法のネットメディアがあってもいいし、あれば便利だと思う。

日本国内ニュースに関連してネット上でのこうしたある種のニュースバリューヒエラルキー逆転現象の印象を持つことはこれが初めてではないが、別の「落差」について書いたばかりなので、また別種の「落差」感として。また先日ネット自殺に関連して、日本の多くのニュースもも外国からのほうがよく分かるのではという感想もいただいていた(via id:kaerudayo:20041020#p4)。そこまで大げさに言う気はないが、第三者がニュースとして選択するものやその仕方を見ることや、ある種の距離感によって、重要なものを重要としておさえられる利点はあるかもしれない。

昨日予告した記事についてはもう少しじっくり書ける時間ができてから。