半休日「聖霊降臨祭の月曜日」

伝統的にはフランスでは今日、月曜日は「聖霊降臨祭の月曜日」(lundi de pentecôte : 復活祭の後の第7日曜日の聖霊降臨祭の翌月曜日)ということで、祝日である。が、本来的には今年からそれは休日でなくなった。

例の2003年の猛暑で老人を中心に15000人の死者が出た悲劇の後、その予防策(ヘルパーの増員、老人ホームへのクーラーの設置等等)の財源をひねりだすために、1日分休日を減らして「連帯の日」なるものにしようという政府のアイディアによるものである。それで12ある祝祭日の中から選ばれたのがこの「聖霊降臨祭の月曜日」。なんだかんだで法律がやっと決まり実行されるのが今年から。

働いているほうにとってみれば、有給であった休日を一日返上しなければならないわけで、既得権が1ミリでも侵されることに強い抵抗を見せるフランス人、それも労働組合がだまっているわけはない。それでも夏の悲劇のショックが生々しかった数ヶ月後くらいだったら「連帯」という言葉の魅力も通用しただろうが、2年近くもたち、しかもなかなか改善しない経済状況の中では、多くの人にとって「ただ働きの日」でしかない。

ということで、国が法律で「休日にあらず」と決めたにもかかわらず、皆さんで一致団結して休日にしようという動きが出てくる。どのくらいが休んだかは今晩もうすぐしてか、明日の朝にでも調査結果が発表されるはずだが、前日の予想では、「半数以上が働かない見込み」という

Lundi de Pentecôte : une majorité de Français ne devrait pas travailler
LEMONDE.FR | 15.05.05 | 10h20 • Mis à jour le 15.05.05 | 10h37
翻訳が media@francophonie に

休みかたにもいろいろあって、スト、有給休暇、年間総労働時間で調整などがある。混乱を避けるために会社によっては最初から休みにするところもあれば、公的機関でも結局上から全員休暇ということで業務をやめたり。半官半民の組織で自主的な運営の色が濃いところでは、職員責任者ぐるみで休みと決定したり。都市の交通機関はパリ以外はほとんどストップということだ。

ただし、現在の様子をみると、ストの動きが大規模な政府への抗議行動に発展することは避けられたようで、政府としてはほっとしているらしい。抗議行動が拡大すれば、2週間後に控えた欧州憲法条約批准の国民投票にもなんらかの影響を与えることも危ぶまれていた。

日本やドイツだったら、法律で休日でないと決まったからには、ぶうぶう言いながらも、皆結局出勤してくるだろうが、あの手この手で皆が勝手に休日を作り、国全体が「半休日」になってしまったという図。来年はどうなることだろうか。

個々にはいろいろなエピソードがあるが、目を引いたものを二つだけ。

・開業医の団体がやはりこの日を休日と見なし、休診日ときめた。休むだけならいいが、開けるところは休日割り増しを請求するという。これにはさすがに私もあきれた。休日割り増しを請求されたら、違法だと言い返したくなる。
・フランス国鉄SNCF)はは組合に、この月曜日を有給の休みとする代わりに、年間を通して、一日1分52秒労働時間を延長することを提案し合意が行われた。フランス国鉄は1分52秒という時間カウントが正確にできる企業に成長したのだろうか。現場を想像するとなかなかシュールだ。5時になって、だれかが帰宅しようとすると、上司が「おい、まだ5時1分52秒じゃないぞ」と言う。言われたほうは、「そうですね、あ、あと1分40秒」、といって二人でだべっている間に、2分半過ぎる。そして部下が時計を見て、「あれ50秒残業しちゃった。これ次にカウントしておいて。オヴォワール」。