IRAの武装解除
IRAの武装解除発表により、過去30年のIRAの武装闘争を振りかえる報道が、週末テレビでも多かった。知り合いのイギリス人からもテロと隣りあわせに生活していたころの話や、偶然で九死に一生を得た話などを聞かされ、あらためてその大きさを知る。
一方、7月30日土曜日づけのル・モンド一面のマンガは、テロ闘争の舞台から去っていくIRAを横目で見ながら、自爆攻撃の支度をしているイスラム過激派とおぼしき男たちに、「1970年から、3600人の死亡者なんて、そんなのアマチュアだ」と言わせている。しかし、30年間に3600人というのは数字から言うと生半可ではない。単純計算で1年間に120人で、7月7日のテロが毎年2つのペースになる。もちろんIRAの武装闘争の3600人の犠牲者数には、7月7日のような都会での派手な無差別テロだけによるものだけなく、治安当局者も含め衝突のすべての犠牲者が含まれているわけで、一方アル・カイダなどのイスラム過激派組識によるテロはインターナショナルなもので世界中合わせると犠牲者の数はは桁違いに多く、適切な比較とはいえないが、それにしてもである。
id:hinakiuk さんが、IRAのテロリストに比べて、こんどのイスラム過激派の実行犯はアマチュアという感想を述べている。これがたぶん一般的なイギリス人の印象だろうから、それから言うとル・モンドのマンガは的を外していることになる。
このマンガのイメージによく出ているような7月7日のテロに対する恐怖感は、ニューヨークの9.11やマドリッドの3.11の大規模テロとのつながりもさることながら、やはり自爆テロということにもあるだろう。自爆テロかどうかは爆破事件直後から大きな関心の的になった。実行犯が最初から自爆をめざしたのか、騙されたのかはっきりしていないようだが、少なくともすでに人々のイメージの中には、パレスチナやイラクの状況が重ね合わされている。そしてそれがテロを起こす側の狙いであるとすればそれは十分に成功したことになる。それに対するのが、イスラエルの治安当局に訓練された警察とくればなおのこと。