7人の少年

上記で紹介したル・モンド記事中、補導された7人の少年たちのプロフィールの部分、翻訳を呼びかけたら猫屋さんが訳してくれました。トラックバックでの複数ブログ連合でいいと最初考えていたのですが、猫屋さんの申し出もあり、読者の便宜も考えて以下にコピペします。fenestraeの判断で数箇所字句を追加したりしています。

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判事のために行われた社会調査から浮かんでくるこれら思春期の者たちのポートレートとは:何人かの累犯者、(犯罪と非犯罪の)中間にいる青少年、そして他の、問題とはまったく無関係の青少年だ。「本物の暴徒は逮捕できなかった。ほかの連中がやってる間、何もしないで横で見ていた若い少人数グループをひっぱった。」と検察庁のある司法官は認めている。

エディ・S (以下すべて仮名)16歳、“犯歴”がある。盗難、隠匿罪、公共設備破壊行為、暴力:11歳から今までに約10件の重犯罪を犯しているが、この数ヶ月前から教育施設でのアシスタンスを受け始めたばかりだ。マリ出身の家族はセーヌ・サン・ドニには10年前から住んでいる。子供は10人。父親はハンディキャップのため働けない、母親は清掃婦である。家に同居する子供数は9人。両親は別居しており、子供たちの状態は不安定。エディは中学第三級(日本での中学3年にあたるか)前に放学されている。本人は「辞職した」と言う。この国家教育院の違法で隠された処置とは、まだ義務教育期間中の生徒に自主退学の手紙にサインさせる、というものだ。この少年は教育アシスタント員に助けを求めた。見習い期間を経て電気工になりたがっている。

アントン・P 16歳、小学校で一回落第ののち中学から放校される。数ヶ月の空白のあと、CAP / 職業校、に籍をおくがついていけない。マリファナを吸いすぎている。両親はともに失業者。この息子はまもなくPJJ(Protection Judiciaire de la Jeunesse)/若年司法保護下に置かれる。

ルシアン・G 17歳半、父親は退職労働者、母親は専業主婦で家には何も不足するものはない、と言っている。彼は職業バカロレアを準備中であり、BTS / 高等技術者免状 のための学校(バカロレア取得後2年の専攻課程で修了)での勉学を望んでいる。前歴が記録されているが、これはすでに数年か前に、違犯行為のため戒告を受けたためである。

ファリッド・E 14歳半、両親は離婚。父親は労働者。母親は無職で異なったパートナーとの間に出来た6人の子供の面倒を見ている。勉学結果に問題があり、中学の特別クラスに在籍している。どちらかというと落ち着きのない子だが、家庭では世話好き。影響されやすく、“大人”に無理強いされ見張り役をやらされた。心配した母親はシテから引っ越したがっているところだ。

モハメッド・S 17歳、モロッコ生まれで4年前にフランスにやって来た。弟が一人いる。母親はベビー・シッター業。父親は無職。この青年は CAP/職業校で衛生関係を学んでいる。ここでの成績はよくはない:調理を選ぶべきだったと考えている。しかし、行動面に問題はない。できれば消防士になりたいという。

ディラン・B 17歳、4人兄弟の末っ子。彼にも犯罪暦はない。父親は非熟練労働者、母親は一般従業員。第四級(中学2年)まで問題なく就学。成績が落ち始めた時、第三級クラス(中学3年)を終了させるために母親は彼を寄宿学校に入れた。両親は心配している:見習い制度で取った販売員免状があるが、どうやっても職は見つかっていない。

ケヴィン・V 16歳、4人の兄弟姉妹がいる。CAP / 職業校で見習い。父親は労働者、母親は販売アシスタントの両親は離婚したが、ケヴィンは双方の親と会い続けている。判事が“問題点はない”とするケースの一人である。

Nathalie Guibert/ナタリー・ギベール

ル・モンド参照

数字 法務省発表によると、10月29日から11月18日までに都市部での暴力行為により拘束されたものの数は3100人、うち135人が書類送検、562人の成人が禁錮(うち422人はすでに実刑判決を受けている)また577人の未成年が未成年判事のもとに出頭している(うち118人に逮捕状が出された)。

説明 訴訟手続き中、未成年担当判事は、一時的施設への収容、司法監視下、一時的拘束、監視下の自由、を命ずることが出来る。裁判時、判決とは別に、未成年者は教育的措置の対象となる場合がある(戒告、親元への帰還、(施設への)配置あるいは再生措置など)。

猫屋注:以上仏刑法に関する用語はかなり恣意的訳であります。また未成年犯罪に対する法的処置についてはこちらをご覧ください。