2005年二大ニュース−−ル・モンドのネットアンケート

lemonde.fr が昨年12月30日実施したネットアンケートで「2005年フランスでおきたできごとで最も記憶に残るのは何か?」という質問。解答は 3(+1)択で、

16,055件の投票があり、結果は↓

ほぼ3人に2人が欧州憲法条約批准の国民投票否決をあげ、10月末から11月にあれほどセンセーショナルにメディアを席巻したバンリュウ騒動に投票したのが30%以下。騒動は12月末には沈静化していたので、人々が冷静に1年を振り返り、大局的な判断ができたということであるにせよ、この大差はかなり意外だった。

投票者がル・モンドの読者層だからで、TV局のTF1のサイトでやったら結果が同じでないことは十分予想できるが、騒動のまっさい中はル・モンドのサイトの読者欄やアンケート結果もかなりセンセーショナリズムに流される気配をみせていたので、少しはほっとする結果ではある。

ただし実際のところ、批准投票にかけられた憲法案に、代替案ありとしてノンをつきつけた人々の熱狂は今どこに?ということを考えると、ほっとするどころではない。


思い返すと、私のブログは2005年は基本的に休眠モードで、欧州憲法とバンリュウ騒動で二度たたきおこされ、ニュースが峠を越したところで、課題を残しながら二度とも尻すぼみになっていっただけということになる。それでもこの二大事件に、短い時間に集中してとはいえまともにつきあったのは、個人的には勉強になった。私自身の物の見方に2005年以前と2005年以降が出来たともいえる。

このバンリュウ騒動に関連して驚いたのは日本での関心の大きさだった。アメリカ経由の文明の衝突的なとらえかたの報道でセンセーショナルに扱われた面もあるが、一方で、事件の原因や「階級社会」についての議論についての「はてな」での関心の高さをみると、かならずしもフランスに関わりのない人でも少なからぬ人が、この事件に他人事でないというような関心を持っていることに気づいた。これを機会に私も、日本でも階層分化の主題が今まさに多くの人の関心を呼んでいるということを勉強したが、フランスの状況について強い興味を生むようなそうした国内状況の認識は、バブル崩壊以降の故国を肌で知らない者にとっては、複雑な気持ちにさせるものがある。