ディープ・リンキング

個別ページへのリンク制限、リンクの許諾要請について、昨日、あまり調べもせず適当に書いたが、リアクションも少なからずあり、はてな内でも、まだホットな話題と知る。

昨日、個別ページへのリンクについて、「「玄関から入る」のを重要視するというのは日本的な発想なのだろうか、それとも、アメリカのサイトなどでもそうなのだろうか。」といいかげんに書いたので、調べてみると、日本だけでなく、ワールド・ワイドな議論だったらしい。
いわゆる「個別ページへのリンク」は Deep Linking と呼ぶのだそうだ。これを制限することの是非についての議論について、W3CWorld Wide Web Consortium)の W3C Technical Architecture Group で話し合ってまとめたいわゆる公式見解が W3Cのサイトにのっている → "Deep Linking" in the World Wide Web (TAG Finding 11 Sep 2003)

かなり用心深くテクニカルな表現が使われているが、結局、1.すべてのリソースに一意のURIを割り振り、ハイパーリンクの論理の内在する WWW において、公の約束ごととしてディープリンクを制限するのは、不適切で、WWWのコンセプトに反している。しかし、2. アクセスを制限したい人には制限する権利があり、WWWの技術にはそのための手だてが揃っていてそれを使えばよい、という2点に尽きる。

昨日の私の認識と同じで、こんなところがやはり妥当だと思う。あとは、公的コンセンサスのレベルと、商習慣、個人的な習慣、特定のウェブコミュニティにおけるローカルルールのレベルの関係だろう。

WWWのアーキテクチュアの精神が維持され広がっていくことによって「より良い未来が開ける」と信じる人々(もちろん私も)は、皆がこの精神を分かちもって欲しいと思い、必ずしもそうでない人に対する啓蒙にいそしむことになるが、その戦術にもいろいろあり、何かと物議をかもしやすいということを、昨日今日で、いろいろなリンク先を読みながら知った。が、その辺りは長い目でみれば枝葉末節ということになると思う。

こうした議論において、何が基本かということについていえば、さしずめid:hinakiuk さんが抄訳で紹介しているTim Berners-Leeの Links and Law: Mythsや、上のW3Cの文書などは、必須レファレンスということになろう。いろいろなローカルルール作法を記したものでなく、まずこれが読まれるべきだが、私も無知なことに今回の件で初めてちゃんと知った。

こうした基本を押えた人にとってはうんざりする話だろうなと思う。はてなキーワードにも「ディープリンク」というのがあり、「HTMLの特性からして、ディープリンク禁止などということはナンセンス。ディープリンクをして欲しくなければ技術的防御手段をとればよい。」ときちんと説明されていた。